だからアナタに殺されたい。




穴があったら入りたいとはまさにこのことで、気まずすぎて、視線を斜め下へと伏せていると、医師はそんな私の足と手を自由にしてくれた。



「…え」



驚く私に、医師が「今は大丈夫な状態なので」と簡単に言う。
それから明るい表情で、私とローゼルを見た。



「ローゼルさん。改めてお伺いしますが、エレノアさんの状況はご存知ですよね?」

「はい」



無表情のまま、こくんと頷いたローゼルに、医師は、うんうんと満足そうに頷く。



「エレノアさんはアナタへの満たされない想いで禁断症状に陥りました。ですが、二人はどうやら両想い、きっと今後エレノアさんが禁断症状に陥ることはないでしょう」



医師の説明に心に絡まっていた重たい鎖がゆっくりと解けていく。

今、なんと言った?
もう私が禁断症状に陥ることはないと言ったの?

医師の言葉がうまく飲み込めない。
だが、そういえば、愛する人に愛され、その愛で満たされれば飢えはなくなる、と言われていたことをふと思い出した。

ローゼルが私を愛してくれていたからこそ、私は救われたということだ。

じんわりと広がり始めた喜びと、未来を望める事実に、私は自然と表情を緩ませた。
そんな私に医師は続けた。
今度は先ほどとは打って変わって、神妙な顔つきで。