「…エ、エレノア」
「ん、ロ、ゼル…」
甘い吐息と甘い快楽。
甘い夢にゆっくりと溺れていく。
このまま、死んでしまってもいい。
…本当に?
瞳を閉じて、全てでローゼルを感じていた私だったが、その中で少しずつ、ゆっくりと理性が働き始めた。
このまま欲望に身を任せ、血を吸い続ければ、ローゼルが死んでしまう。
私は彼の死を望んでいない。
気がつけば、私はローゼルからゆっくりと口を離していた。
「…やめちゃうんですか?」
離れた私を見て、名残惜しそうにローゼルがこちらに視線を向ける。
そんなローゼルに、私は気恥ずかしそうに小さく笑った。
「…ありがとう、ローゼル。もう大丈夫だから」
「本当ですか?」
「本当よ」
まだして欲しそうなローゼルの瞳に、困ったように眉を下げる。
それからじんわりと暖かい熱が胸いっぱいに広がった。
これは彼を捕食対象として求めるあの熱とは違う。
彼を愛おしいと思う熱だ。



