檻の羊

「めーくん。冷静になろ?マリッジブルーって男性にも有り得るのかな?しょうがないよ。急に他人との生活がスタートしたり、責任を増やされたり。疲れちゃってるんだよ。でも私は違うよ」

「はぁ。何言ってんの、お前」

「私にはなぁーんにも気なんて遣わなくていいんだよ。めーくんのことだけを想って生きていけるのはこの世で私だけ。後悔なんて絶対にさせないよ」

「こっわ。マジでイカれちゃった人間ってどんなホラーよりもこえーな」

「めーくんこそどうしたの」

「宵ちゃん。君は壊れちゃった機械です。もう修理の施しようもありません」

「どういうこと」

「廃棄」

「廃棄って…」

「要らないの、紅羽宵の存在全てが」

どんな体調不良にも例えられない。

痛い?
苦しい?
吐きそう?

全部違う。しっくりこない。
頭痛も胃腸炎もヘルペスも全部違う。
強いて言うならインフルエンザの夜にみる悪い夢。

脳みそがぐちゃぐちゃになって、瞑っているのに視界が揺れる。

黒とかチャコールグレーとかいっぱい、いっぱいマーブルになって押し寄せてくる、あの感じ。