檻の羊

「でも私はめーくんを幸せにしてあげることしか考えてないよ。こんな暮らしも要らないし、めーくんさえ居ればいいんだもん。きっと毎日楽しいよ」

「ずっと後悔してるって言ってんの!お前に手出したこと。お前がここまで地雷だったとか、見抜けなかった俺、ほんと最悪。あのさ、最初から当たり障りない一般家庭で生きてこれたお前とは違うの。俺には必要なんだよ。この暮らしが」

「どうして」

「あー…。俺の実家、すげぇ貧乏でさ。親父は仕事より飲み歩いてることのほうが多いような人間で、常識なんかとっくに捨ててるような人間だったな」

「めーくん、大変だったんだね」

労う私の言葉にも、めーくんはだるそうな表情をした。

「母親は遅くまでパートに出てたけど元々体が弱くてまともには働けてなかったんだ。俺は俺で友達が多いほうでもなかったし勉強くらいしかすることも無かった」

今のめーくんからは想像もできない。
当たり前にモテて、みんなの中心で毎日忙しい学生時代だったんだろうなってことのほうが容易にイメージできる。