檻の羊

四時間目が終わってお昼休みが始まる頃に私は教室へ戻った。

教室に入ってきた私に向けられた沢山の目には、私への同情や心配が見て取れた。

口々に「そんな場所に居合わせて大変だったね」、「クレハちゃんは怪我したりしてない?」と私を気遣う言葉ばかりをかけられた。

その日、めーくんが学校に戻ってくることは無かったけれど、
翌朝にはいつも通りホームルームが始まって、めーくんの口から六花先生の容態が説明された。

軽い脳震盪(のうしんとう)を起こしていたが無事に目を覚ましていること。
打撲と左手薬指の骨折の他には怪我は無いこと。
メンタルも落ち着いていて、一週間の入院と自宅療養を経て、十月になる前には復帰するそうだ。

そんなに強く捻ったのかな。
捻ったのかもね。
だってほとんど薬指だけに力を込めて、身体を押し出したんだし。

でも案外、指って簡単に折れるんだなぁ。

じゃあ鍛え上げられた足を骨折した秋夜くんはどれだけの強さが加えられたのだろう。

音楽の先生が指を骨折。
致命的。
可哀想に。