檻の羊

救急車は十分くらいで到着したように思うけれど、あまり時間の感覚は無い。
私のクラスの授業はすぐに中止になって、めーくんと女子の体育を担当している女性教師が救急車に同乗した。

めーくんは全身の血液を失ったみたいに真っ青な顔をしていた。

私は教頭先生と国語の先生と一緒に生徒指導室に連れて行かれた。
警察の事情聴取みたいに説教されるのかと思ったけれど、国語の先生があったかい緑茶を淹れてくれて、
「落ち着いたらお話聞かせてね」と優しい声で言ってくれた。

教頭先生も急かすことはしない。
それでも落ち着かないのか、「大変なことになりましたね」と繰り返して、
年齢の割には豊かな髪の毛を撫でながら狭い生徒指導室を行ったり来たりしている。