檻の羊

ヒッ…て小さく聞こえた気がしたけれど声を上げる間もないまま、六花先生の身体は階段から転がり落ちた。

パンプスが片方だけ階段の縁に引っかかって、もう片方は六花先生と一緒に着地した。

うつ伏せの状態で四肢をだらんとさせたまま六花先生は動かない。
エンジ色のフレアスカートが捲れて下着が見えてしまっている。

ゆっくりと階段を下って、可哀想だからスカートを整えてあげた。

「きゃああああああああッ………!!!」

私の悲鳴を聞いて、授業中だった先生達や、職員室まで悲鳴が届いていたのか、残っていた先生が何人か飛び出してきた。
その中には教頭先生も居た。

階段って声がよく反響するんだな、と一人冷静に思ってしまう。

当然、野次馬意識の生徒達も集まってきたけれど、先生達が教室に戻るように声を張り上げている。

教頭先生は、口を両手で覆ったまま震えている私と、気絶してしまっている六花先生を何度も見返しながら、
「え、水澤先生!?君は何年生…これは…」って狼狽えている。

「君!救急車を!」

「はいっ…!」

教頭先生に指示をされた男性教師が慌てて職員室に戻っていった。
私は二年生の国語を担当してくれている女性教師に肩を抱かれながら震え続けた。