檻の羊

急いでって言ったくせに、どうせ遅刻ならと諦めたのか、
それとも教師として廊下を走らせるわけにはいかないからなのか、六花先生も私の歩調に合わせるようにゆっくりと歩いた。

「先生、この前はごめんなさい」

「この前って?」

「お祭りの時。私、なんかヤな言い方しちゃったかなって」

「ああ。別に気にしてないわよ。大人なのに私達の行動が軽率だったんだし」

「学校の外では″先生″じゃないもん。ただのカップルなんだし、だめなんですか」

大人、大人ってどいつもこいつもうるさいなって思った。

「花火、残念だったわね」

今日の六花先生は白いブラウス。
胸元でリボンがクロスされている。
エンジ色のフレアスカートも秋らしくて、よく似合っている。

六花先生は素直に美人だ。
めーくんの隣がよく似合う女性。
美男美女。

この人が「大人」を通り越してもっとおばさんだったら良かったのに。
私だけがハンデを背負っているなんてフェアじゃない。