檻の羊

「筆箱忘れちゃって。いいですか」

「そうだったの。ごめんなさい。見回ったんだけど見落としてたかしら」

「机の中に入れてたから」

「そうなの。もうすぐ四時間目が始まるから急いでね」

「はい」

六花先生の言う通り、あと三分もすればチャイムが鳴るだろう。
廊下には私達以外の気配はない。

「あー、ありました。ありがとうございます」

わざと忘れていった筆箱を取って、音楽室から出る。
それと同時に四時間目が始まるチャイムが鳴った。

「紅羽さん、急がないと」

「大丈夫です。次、技術だから。どうせ遅刻だし…移動教室続きって鬼だと思いません?」

「そうかもね。音楽室からクラスに戻って、技術室まで。確かに大変ね」

「でしょ。羊先生には正直に言って謝ります。あ、六花先生が口聞いてくれたほうが許してくれるかな?」

「だーめ。ちゃんと自分で謝りなさい」

「えー」