檻の羊

「恥ずかしいところ見られちゃったな」

「何が恥ずかしいんですか。奥さんになるんだからいいじゃないですか。ていうか生徒に会うことなんて当たり前に想像できるし」

「そう、ね」

笑いながら言った私に、六花先生も硬い笑顔を作った。

めーくんはこっちには来なかった。
自分のクラスの生徒に会ったのに挨拶もしてくれないなんて。
″私達″のことが六花先生にバレたら困るから距離を置いてるのかな。
私のことなんか気にしてないフリ、しなきゃだもんね。

雨が降り始めた。
空気のにおいが変わる。

花火の打ち上げが中止になったアナウンスが流れて、テント内にも落胆の声が広がった。

私は嬉しかった。

大空に打ち上がる花火よりも、人間の視界に許された、限られた同じ景色を一緒に見ることができたから。