檻の羊

二人が来てから一時間以上が経っていた。

ママ達が帰ってきて、もう遅い時間だし秋夜くんの足が心配だからと、パパの車でそれぞれの家まで送り届けた。

車の中でも、帰宅してからのシャワー中も、ベッドに入ってからも二人が言ったことを考え続けた。
どれだけ考えてもめーくんを好きじゃなくなる私なんて想像ができなかった。

今日は音楽の授業も時間割に入っていて、めーくんが言った通り、六花先生からも婚約の報告があったそうだ。
風子ちゃんから聞いた時、私は一日に二回も失恋した気持ちになったけれど、そんなことで諦めるつもりはない。

めーくんだってそのうち目を覚ましてくれるはずだ。
私ほど一途に想ってくれる人なんていないってすぐに気づいてくれるだろう。

このまま入籍したって構わない。
めーくんの心の中に居られるだけで私は十分に幸せなんだから。

分からず屋でくだらない世間体に縛られている連中なんて鼻で笑ってやるんだ。

私の恋は間違ってなんかいなかった。
これこそが真実の愛なんだって証明してみせる。

その日から私はめーくんのことを風子ちゃん達に話すことはなくなった。
私が二人の話に感化されて、″真っ当に″恋を諦めたのだと、きっと二人は思っただろう。

私は必ずやり遂げてみせる。

真実の愛は誰にも奪わせはしない。