檻の羊

「風子ちゃんはなんで今日話そうと思ったの」

「クレハちゃんがきっかけだったの」

「私?」

「羊先生が婚約したって発表して、クレハちゃんが倒れちゃった時…。元々体調が悪そうだったけど、先生にトドメ刺されたんだって思った。相当ショックだったと思う。実感しちゃったの。クレハちゃんは本当に本気で先生のことが好きなんだって。好きな人の言動で心を保てなくなるくらい、本気で恋をしてるんだって思ったら、なんていうか、上から目線でごめんさないなんだけど…。私は本当に好きな人と恋人同士になれたのに、本音も言えないまま好きな人を危険に晒す選択をしてしまった。この事実から逃げてしまったら私は一生後悔するって。クレハちゃんにとっては辛い事実だったからこんなこと言うの酷いと思うけど、恋をしてるクレハちゃんから勇気を貰ったの。だからしゅうくんにちゃんと話そうと思った。例え別れることになったとしても」

「俺は別れる気は一ミリも無いよ。逆にここからまたふうちゃんとこの問題も、いろんなことも乗り越えていきたいって覚悟ができた。一番大切な人の心を、もう二度と見失いたくない。だからさ、クレハ。本当にごめん。この件の報告と、もう一つ」

「え、何。ただの惚気だったのかーって終わるんじゃないの」

「俺達は今回の件でお互いの存在を再認識し合ったからこそ、クレハに伝えたいことがあって来たんだ」

「うん?」