「早退した時、ちょうど二時間目が始まる頃だったから駐輪場には誰も居なかった。誰か居れば良かったのに…。足を挫くとかその程度。ちょっと練習を休んでくれるだけでいいから怪我をさせてやろうって…カッターでタイヤを傷つけたの」
「風子ちゃん。秋夜くん、坂で転倒しちゃったんだよ。死んじゃっててもおかしくなかったんだよ」
風子ちゃんの目からボロボロと涙がこぼれてくる。
壊れてしまった、締まりの悪い蛇口みたいに頬を伝っていく。
「すぐに謝ろうと思った。でもそんなつもりなかったって済ませられることじゃないって分かってた。しゅうくんを失うことが何よりも怖いのに私がしゅうくんを殺してしまうところだったんだって思ったらどんどん言えなくなった」
「ふうちゃんの話を聞いて、謝るべきなのは俺のほうだって思ったよ。こんな風にしてしまったのは俺のせいだ。大会に出られなくなったことには落ち込んだけど、一生懸命打ち明けてくれるふうちゃんを見てたら、本当にこの子のことが好きなんだって実感した」
「なんで」
「怒る権利なんてそもそも無いけど、それでも怒る気持ちにすらなれなかった。俺にとって陸上は生きてる意味くらいだいじなもんだけどさ。これ以上大切な人に苦しんで欲しくない。今度こそ何と引き換えてでもこの子の心を守りたいって思ったんだ」
「風子ちゃん。秋夜くん、坂で転倒しちゃったんだよ。死んじゃっててもおかしくなかったんだよ」
風子ちゃんの目からボロボロと涙がこぼれてくる。
壊れてしまった、締まりの悪い蛇口みたいに頬を伝っていく。
「すぐに謝ろうと思った。でもそんなつもりなかったって済ませられることじゃないって分かってた。しゅうくんを失うことが何よりも怖いのに私がしゅうくんを殺してしまうところだったんだって思ったらどんどん言えなくなった」
「ふうちゃんの話を聞いて、謝るべきなのは俺のほうだって思ったよ。こんな風にしてしまったのは俺のせいだ。大会に出られなくなったことには落ち込んだけど、一生懸命打ち明けてくれるふうちゃんを見てたら、本当にこの子のことが好きなんだって実感した」
「なんで」
「怒る権利なんてそもそも無いけど、それでも怒る気持ちにすらなれなかった。俺にとって陸上は生きてる意味くらいだいじなもんだけどさ。これ以上大切な人に苦しんで欲しくない。今度こそ何と引き換えてでもこの子の心を守りたいって思ったんだ」



