檻の羊

「宵、何やってんの」

「めーくん不用心だよ。開けっぱなしにしちゃ」

「だなぁ。お前みたいなのが侵入するからな」

放課後。技術室。
並べられた六台の木製机と背もたれのない四角い椅子。

木屑とか埃とか工具とか、他の教室とは違うにおいがする。

窓はカーテンで閉め切られているけれど、
少しの隙間から差し込む光。
宙に舞った塵がキラキラと瞬いて綺麗だと思った。

「暇なの。最近風子ちゃんが遊んでくんないから」

「二階堂の世話で大変だもんなぁ」

「秋夜くんも暇になっちゃったもんね。練習が無いと」

「橋本は忙しくなっただろうけどな」

「風子ちゃんは嬉しいんじゃないかな。一緒に居る時間が増えたし嫌がらせもされないし」

「まあなー」

そうだ。

秋夜くんが骨折している今、風子ちゃんにとっては一番平和で穏やかな時間なのだと思った。

秋夜くんが落ち込んでいるのは当然だけど、
風子ちゃんと一緒に居る時間はやっぱり癒されるのか明るく振る舞っている。

今まで陸上の時間に充てていた分、風子ちゃんとの時間を取り戻すように、二人はいつも一緒に居るようになった。