檻の羊

「風子ちゃん、ちょっとだけいい?」

放課後の図書室には十人くらいの生徒がまばらに座っている。

図書室が混雑している風景もあまり見たことはないけれど放課後は余計に閑散としている。

それでも「図書室」という効果は抜群で、
「図書室では騒がない」というルールをバッチリ発揮する。

ヒソヒソ声で風子ちゃんの耳元に囁いた私に、口角を上げてこくんと頷いてくれた。

「風子ちゃんを一人にできない」とヒーローぶっておきながら、結局は欲に勝てない私を見透かしたように、「集中したいから大丈夫だよ」と、有名な文豪の難しそうな小説を開いて風子ちゃんはもう没頭しだしてしまった。