檻の羊

その日、一時間目が終わってから結局風子ちゃんは早退した。

無理もないと思う。
メンタル的にも相当なダメージだったと思うし、さすがに傷ついたのだろう。

体育から戻った秋夜くんは風子ちゃんの体調不良を信じていて、
あの時廊下にはまばらでも他の生徒も居たはずなのに然程騒ぎにもならなかったせいか秋夜くんは本当のことを知らないみたいだった。

お互いの大切なことに″お互い様″で気づけないみたいに、その日の放課後に起きたことを早退した風子ちゃんは知らなかった。

いや、秋夜くんが自分ですぐに連絡くらいはしていたかもしれない。
放課後のことだったから私だって知らなかった。
風子ちゃんが居ないなら部活動生を待ったりなんかしないから。

土曜日の朝。
泣きながら電話をかけてきた風子ちゃんの声で知った。

まだ完全には起き切っていない脳みそに風子ちゃんの声がこだまする。

「しゅうくんが骨折したの。大会出れなくなっちゃった」