檻の羊

教室の窓からは生ぬるい風が吹き込んでくる。

窓枠に両腕をつけて、その腕に顎を置く体勢でだらだらと椅子にもたれたまま運動場を見下ろした。

四階の教室からはサッカーボールを蹴る男子達がとても小さい生き物に見える。

誰かがシュートを決めるたびに体育館の女子達から歓声が上がる。

風子ちゃんの制服のシャツは見事にグラデーションを描いて汚れてしまったから上だけジャージに着替えた。

「体調が悪いから付き添うって言ってきたけど風子ちゃんが着替えてたら不自然だよね。どうしよっかー」

「そうだよね」

「言い訳、あと四十分で考えなきゃね」

「クレハちゃん、巻き込んでほんとごめんね」

「親友じゃん」

「うん…ありがとう…」

「ちょっと泣かないでよ」

「呆れたでしょ」

「ちょっとね」

「ふふ」

「でも二人がそうしたいんなら外野がゴチャったってしょうがないじゃん」

「クレハちゃん。私を見捨てないでね」

「だーかーらー!親友でしょって!みくびんないでよ」

「うん。ごめん」