檻の羊

「しゅうくんにとっては陸上も私のことも同じくらい大切に想ってくれてるの。私がこんな目に遭ってること、いいとは思ってないよ。それでも彼女達を刺激することで練習の妨げになったらしゅうくんの今までの頑張りが全部無駄になっちゃう。それならこれくらい私は我慢できるよ。クラスのみんなもクレハちゃんもしゅうくんも居てくれるもん。平気だよ」

私には全然理解できない。
自己犠牲の愛が正しいなんて思えない。
そう思える人が私には居ないのだと言われてしまえばそれまでだけど。

それでも私は、世界がどうなったって一番好きな人が一番幸せならそれだけで何も要らないのに。

「先生のとこ行ってくる」

「先生って…!」

「体育の!欠席するって言ってくるから風子ちゃんは教室でジャージに着替えてて」

「…分かった。ごめんね」