檻の羊

だけど秋夜くんに怒りすら感じてしまう。

なんでもっと真剣に注意してくれないのだろう。
大勢のファンが自分についていることが気持ち良くて野放しにしているのだろうか。

いや…違う。

これはただの八つ当たりかもしれない。
早く戻るって言ったのに私が約束を守らなかったせいだ。
風子ちゃんの安全よりもめーくんへの欲に負けてしまった。
全部私のせいだ。

すれ違う生徒に声をかけて回っていたら、それらしい女子達が一つ上の階のトイレに入っていくところを見ていてくれた人がいた。

四階へと階段を駆け上がる。
図書室は校舎の別棟にあって、四階には視聴覚室と空き教室しか無いから放課後はほとんど無人だ。
この場所を狙うなんて悪質過ぎる。

案の定、四階全体がシンとしていてトイレの周りに生徒はもちろん居ない。

六つあるうちの入口から向かって右手、一番奥の個室のドアにモップの肢が斜めに立て掛けられていた。