檻の羊

脳内でこだまするめーくんの声と、現実に巻き起こっている行動に頭が追いつかない。

再び重ねられたくちびる。

もういちごキャンディーの甘い香りも味もしなかった。

「お前が大人だったら問題なかったのにな。なんで生徒なんだよ」

「なんで…キス…」

「は?お前がしたんだろ。仕返し」

「仕返しってだって…バレたらどうすんの」

ニッと上がる口角。
シルバーフレームの奥でキラリと光の粒を宿す漆黒の瞳。

またその顔。
大好き。

「説得力ないよ、宵さん」

「未成年をからかって遊んでるんですか」

「どうかなぁ。人生を賭けるほどの覚悟は俺にはないけどね。お前はさぁ、ちょっと自覚して気をつけたほうがいいよって釘刺してんのかも」

「釘?」

「例え教師であっても素顔はただの男なんだよ。本気じゃないなら泣く前にやめとけ」

「本気ならいいんですか」

「本気とかまだまだ知らないでしょー」

「めーくんを好きでいられるなら何があっても泣いたりしないもん。私の気持ち、知っててくれるだけで嬉しいよ」

「…お前かわいーな」