檻の羊

手首。

当然、指よりも骨が太くて固い。
ゴリゴリした感触まで伝わってくる。

涙は出なかったくせに目頭から紅い線が伝ってくる。
もうぴくりとも動かない。

さほど達成感を感じられないまま、世界で一番大好きな人が死んだ。

腕。

皮膚はスッと切れるけれど思っていたよりも筋肉が邪魔をするのか、小さい電動ノコギリでは想像よりも簡単には切れなくて、途中でやめた。

中途半端に繋がったままの腕の内側に刃を差し込む。
グチュグチュと掻き回したら少し泡だった血液がドクドクとこぼれてくる。

めーくんの紅い紅い血液でどんどん染まっていくカッターシャツ。
花火みたいだと思った。

ぴろんって飛び出した何かの筋をつまんでみる。

なんの温度も感じない。
ネチネチしている。

もうなんの罵倒すら浴びせてくれないことが寂しくなってきた。