檻の羊

「…分かったよ。紅羽に酷いことしたのは俺も同じだから。これで終わりにしよう」

「ありがとう。甘い甘いめーくん、大好き」

「甘い?」

「甘いよ。めーくんは。とびきり甘くて、馬鹿な人」

力を込めてギュッてしためーくんの背中の温度。

不快じゃない。
生きている人間の体温。

めーくんは座っていて、私は立っていた。
私の胸元にめーくんの顔が当たる。
やっと恋人同士になれたみたいな気持ち。
あったかい。

顔を埋めたらめーくんの髪の毛が頬に触れてくすぐったい。

「名前呼んで欲しい」

「紅羽」

「違う。宵って呼んで。二度と忘れてしまわないように。めーくんの声で聴かせて。ちゃんとお別れできるように

「………宵」

めーくんがギュッてし返してくれることはなかった。
本当はしたかったけれど間に合わなかったのかもしれない。