檻の羊

「羊先生。ううん、最後だからやっぱりめーくんって呼んでもいい?」

「…」

「最後だから。お願い」

「…分かった」

「ありがとう。やっぱり優しいな、めーくん」

「本題は」

「うん。めーくん、昨日のこと学校に報告しないの?」

「これ以上騒ぎを起こして、俺になんの得がある?」

「私を追放できるかもしれないのに?」

「紅羽がそういう行動を起こす原因を俺が作ったことを追及されるだろ。メリットなんか無い」

「おうちのことはどうするの」

「いいわけならいくらでもできる。六花が戻る前にさっさとリフォームするのが手っ取り早いけど。とにかくもう俺は平凡に暮らしたいだけなんだよ、頼むよ…」

「生徒がやりました、なんて言えるわけないもんね。私とのことがバレるわけにはいかないし」

「そんなことはもういいだろ。俺は俺でどうにかやる。お前の将来に傷をつけてやろうとも思ってない。軽率だったと認めるよ。自分がやったことへの高い勉強代だ」

「高いのかなぁ。私の価値ってそんなもの?」

「なぁ…もう…ほんといい加減にしてくれ。それより何、転校って?三年になってからの転校は普通より大変だと思うけど。ご両親は本当に納得してるのか」

「めーくんって純粋だよね」

「何?」

「散々痛い目みてんのに素直だなぁって。そんなことより、寂しくなるなぁ。少しの間、めーくんに会えなくなるの」

「少し?」

「めーくんは、生まれ変わりとかって信じる?」

「は?なんの話?」

「生まれ変わり。また絶対に人間に生まれ変わるって保証も無いし、何年くらいかかるんだろう。今度はもっと普通に恋愛ができるようにすぐ追いかけてもいいんだけど。もし私に勇気が無かったら、次は私のほうが年上になってるってことだよねぇ。不思議」

「なぁ。なんの話してんだよ」

「安心して。私は年齢の壁なんてなんとも思わないから。めーくんのことちゃんと見つけ出してみせるし、いくつになったってちゃんと愛してあげるからね」