檻の羊

二時間目が終わった後の中休み。
風子ちゃんと秋夜くんに呼び出された。

運動場の一角にある用具室。
ハードルやナイロンベルト素材のラダー、砲丸、
ゴムチューブが繋がったタイヤ。
他にもいろんな練習用具があって、陸上部用の倉庫だと分かる。

「いいの、勝手に入って」

「俺がキャプテンだって忘れたの」

「じゃあ何。こんなとこに呼び出して」

「昨日のこと。あのままにしておきたくなくて」

「またその話?私の中ではもう終わったよ」

風子ちゃんがそっと私の手を握った。
その温度が妙に熱くて、パッと振りほどいてしまった。

「ごめん。嫌だったよね」

「こっちこそごめん。びっくりしただけ」

生きている人間の体温ってこんなに気持ち悪かったっけ。

溶け合ってしまいそうで怖かった。
純度高く、私はめーくんだけの子でいたいのに。

不純物が混ざってしまったら私も正しくなくなってしまう。