檻の羊

「羊せんせ」

ホームルームが終わって、一時間目が始まるまで十分の休憩時間がある。

職員室。
声をかけられためーくんはたじろいだけれど、周りを気にしてか平静を装った。

「紅羽。どうした」

「お昼休み、忙しいですか?」

「…五時間目の準備がある」

「どこのクラスですか。五時間目」

「一年生だよ」

「へぇ。じゃあ三十分くらいでいいのでお時間もらえます?お話しながら準備手伝いますよ」

「ちょっと…」

座っていた椅子から立ち上がっためーくんは私の腕を引いて廊下に出た。
職員室の隣は教材室になっていて、様々な教科で使う資料や道具が保管されている。
電気をつけていない教材室は薄暗いし、少し埃っぽい。

「こんなところに連れ込むなんて。大胆ですね」

「いい加減そういう冗談はやめろ」