檻の羊

「あ、風子ちゃんおはよー」

翌日。
普通に登校して、いつも通り挨拶をする私を風子ちゃんは一瞬怪訝そうな顔で見たけれど、
すぐにいつもの調子で「おはよう」って返してきた。

風子ちゃんは怖い。
だって我慢することが癖になっていて、でも自分のキャパをあんまり把握していないから突然爆発する。
私も身辺には気をつけなきゃ。
いつ秋夜くんの二の舞になるか分からない。

私の身体は私だけのものじゃないんだもん。
めーくんの為にも、自分の身は自分で守らなきゃ。

朝のホームルームを告げるチャイムが鳴って、スーツ姿のめーくんが教室に入ってきた。
昨日の部屋着のめーくん、可愛かったなぁ。

めーくんがチラッと私のほうを見て、はっきりと眉間に皺を寄せた。
まさか普通に登校してくるとは思っていなかったのかもしれない。

ねぇ、めーくん。
私だって不思議なの。
なんで警察沙汰にしないの。
すぐに学校に報告しなかったの。

だってそんなことしたら自分が生徒に手を出したことも全部バレちゃうもんね。
そしたらあなたのプライドを飾り立てるアクセサリーも何もかもを手放すことになる。

地位や名誉も、お金も無くったってめーくんはめーくんってだけで素晴らしいのに。