UN-EQUAL ―不揃いな色の旋律 ―

「かげの、りつ、です……よろしくお願いします…」

絞り出した声は自分でも驚くほどに小さく、カサカサに乾いたか細い声だった。

自分では合格の低い声を出せた。

……しかし。
返ってきたのは拍手ではなく、困惑したような沈黙だった。

「え?」「なんて?」と教室内でヒソヒソと囁かれ、少しずつざわめく教室。
そして、後ろの方から「ごめーん、なんて言ってたか聞こえなかったからもう一回言ってよ!」と悪気がなさそうな声。

僕はそれに戸惑いつつ、さっきよりも大きな声で言った。

「ごめん、また聞こえなかった〜」と茶化すような色が混ざった男子の声。

それに所々からクスクスと笑いが起こる。

それは、入学式の副会長さんの時の笑いとは真反対の馬鹿にするような笑いだった。

すると、休み時間に明るく派手なグループの中心にいた男子が後ろを振り返って「影野 律くん、だってよ〜」と少し助けてくれるように言った。

けれど、さっき茶化すように言った男子が「影野くんから直接聞きたいでえ〜す」と、またからかうように言う。

僕はそれにカッと頭に血が上った。

精一杯やってるのに、なんで……という思いが胸から逆流して口から今にも飛び出そうだ。

そして……。

「影野律ですっっ!!!!」

僕は怒りが最高潮に達し、声を低くすることも忘れて思い切り声を張り上げた。

シン、と静まり返る教室。

「あ……」

やってしまった、と思ったときにはもう遅かったのだ。

数秒の沈黙が終わり、ざわつき始める教室内。

「声高すぎだろ……本当に男?」「エグいって…」と、驚くように言う奴、馬鹿にしたように言う奴。
反応は様々だった。

けれど、僕の心にはやり直すにはもう遅すぎるという後悔だけが募っていた。

僕は、この場から逃げ出したい、消えたいという思いにかられながらも席に戻った。

席に付く前に、あの美少年と目があった気がしたけど、僕は直ぐに目を伏せて眼鏡のフレームを触っていた。