UN-EQUAL ―不揃いな色の旋律 ―

「じゃあ、時間あるから予定通り自己紹介行こうか!名前言って、なにか言いたければ一言言ってもいいわよ」

教科書が配り終わり、担任が教卓の前に立ってそう言った。

ええっ!?き、聞いてないよ……そんなの!
一言とか、何言えばいいの!?

担任の急なそんな言葉に、僕は思考をぐるぐると掛け回す。

「はい、ありがとう。次は……影野くんね」

一言の内容を考えていると、いつの間にか僕の前の五人が全員終わっていたらしく名前を呼ばれた。

自分の名前に、心臓が跳ね上がった。

「は、はい」

喉の奥を意識してなるべく低い声になるように声を出す。

よしっ、成功だ……!
けど、まだ心の準備が……。

心のなかでブツブツと呟きながら、椅子を引いて立ち上がった。
教卓の前に向かう。

教卓の前に立ち教室内を見回した。
クラスメイトは全員こちらに注目していて、キラキラとした興味津々といった様子の瞳を僕に向けている。

けれど、僕にはそれが心に重く伸し掛かった。

『期待』が込められた眼差し。
僕が嫌いなものの一つだ。

そんな中、一人の子と視線が交わった。

その子は入学式のときに睨まれた、美少年だった。

いや、まだ自己紹介を聞いてないから男子とはわからないんだけど……。

しかも、その子にまた鋭い瞳を向けられている。

僕はその視線にキュッと喉の奥がしまった。
カラカラに乾く喉。教室の空気を熱いほどに伝える肌。

さっきまでは大丈夫だったのに、何故か急に緊張で体が固まってしまう。

そして、無意識にメガネのフレームを握りしめていた。

それに勇気をもらえた気がして、フレームから手を離して前を向き直す。

喉の奥に力を入れる。

低い声、低い声……。

心のなかで念仏のように唱えながら、口を開いた。