UN-EQUAL ―不揃いな色の旋律 ―

結弦がそう言うので、それをもらって断りを得てからラッピングを開けると――

眼鏡ケースと眼鏡が入っていた。

「は?メガネ?僕目悪くないんだけど……」

そう言いながらも、一度眼鏡を掛けてみると視界は変わらなかった。

「これって――」

「伊達メガネ」

僕が言う前に、ニッと笑いながらそう言う結弦。

「律さ、まだ人と関わるの怖いだろ?ならさ、この眼鏡で、人との境界線作ってさ……このレンズに守ってもらってくれよ。俺が一緒に高校生活できるわけじゃないからさ。御守って思えよ」

そう言って僕の背中をトンッと押す。

「行って来い!高校生活、律なりに楽しんでこいよ!」

結弦の優しさにグッと堪えながら、僕は玄関扉に手をかけた。

「いってきます」

「いってらっしゃい」

言葉を交わし、久しぶりにちゃんと外に出る。

マンションを出て、住宅街ながらも立派な桜並木の下を歩く。

歩いて30分。バスを使えば10分ほどで到着する高校に僕は通うことになった。

中学の頃の担任が言うに、同じ高校に受験したやつは偶然か必然か誰も入学しなかったらしい。

バスに乗車し、席に座った。

数人、僕と同じ制服を着た男子のグループが小声で楽しそうに話している。

制服のネクタイの色を見る限り、新入生ということが分かる。

僕は気配を殺し、できるだけそのグループから離れた席に座った。

小声であるものの、話している声は聞こえてくる。

勿論、ちゃんと全員声変わりした低い声。

僕は虚しくなるとともに、声はなるべく出さないようにしようと改めて思う。

ジッとと停留所待ち、到着して一番に降りた。

そこからは歩いてすぐ。

春の陽気と桜の香りが鼻をくすぐる中、僕は高校の正門をくぐった。

今日から、新しい生活。
なるべく口を閉じ、目立たず、この声を誰にも聞かれないように、とそんな決心を胸にクラスが張り出されている掲示板へ向かった。