UN-EQUAL ―不揃いな色の旋律 ―

「やっぱいい声だな、律。あ、お前ら楽器と機材の確認OK?」

光琉先輩は小さい子を褒めるように、僕の頭に手をおいてガシガシと撫でた。

その間に、それぞれがコクリと頷き、楽器を持ってスタンバイ。

「準備するのはいいけど、まずは曲決めようぜ。ボーカルは何が歌える?」

光琉先輩はそう言って僕の顔を覗き込む。

僕は近すぎて、思わず眼鏡のフレームを握って顔を下に向ける。

「え、っと……バラード調のものが多いんですけど、歌う回数が多いのはさっき歌ったやつです」

僕はボソボソとそう言う。

「いいんじゃね。俺ドラム習ってたときにオリジナル作る課題でやったことある」
「今感覚で作った」
「……ベース目立つ曲だから知ってる」

けれど、そんな僕の声も拾ってくれたのか、藤室くん、冬馬先輩、要先輩が順番にそう言った。

てか、冬馬先輩今さらっとすごいこと言ったよね!?

「俺もできる。コレにするか」

光琉先輩はそう言いながら、僕の前を去ってキーボードの前に行ったようだった。

足音が離れていくのを確認すると、僕は顔を上げた。

「やるぞ」と。
誰も口を開いていないはずなのに、僕達五人の声が脳内に響いた。

「ドラム、頼む」

光琉先輩は呟くようにそう言った。

――カッカッカッカッ

スティックを打ち合わせた音が教室に響き、曲の前奏が始まった。

イヤホンから聞こえる音とはまた違う、後ろから押されるような感覚。

ギター、ベース、キーボード、そしてドラム。

この曲にあるはずの楽器もないはずの楽器も。
全てが音を合わせて、一つの音楽になっている。