UN-EQUAL ―不揃いな色の旋律 ―

「いーから。さっき歌ってたのでも」

無理矢理背中を押されてグイグイとマイクスタンドがある小さなステージに立たされる。

「調整だから、サビのところだけでも」

ゴリ押してくる光琉先輩に負け、決心をしてマイクを握り直した。

アカペラ……でいいか。

頭の中でサビ前の音を再生する。

息を吸う。屋上の時と同じ。
このメロディが響くと、僕の心はくすぐられる。

喉を開いて、一番好きなサビ前から歌い出した。


「大丈夫」なんて 嘘でもいいから 自分を信じてみたいと 胸の奥が熱くなる

正解なんて なくても良い 「本当の自分」をさらけ出せ 一度きりの人生


喉から滑り出す高い声。
『「本当の自分」をさらけ出す』というのはこういうことなんだろうか。

高い声がマイクを通して教室中に響き渡る。

サビ最後のワンフレーズ。

「『今この瞬間 響かせろ』」

儚く、冷たく。消えていくようで、熱い炎。
僕の頭にはそんな風に思い浮かんだ。

響いていた僕の声が徐々に小さくなる。

ポクポクポクと、沈黙が続く。

え、ぼ、僕……何かやらかした!?

不安に思っていると、冬馬先輩が呟くように言葉を発する。

「いいな、その声」

そう言いながら、フッと微笑む。

「たけぇ声って思ってたけど、お前だけの武器だろ、影野」

藤室くんも静かにそう言う。

要先輩は二人の意見に便乗するように、コクコクと首を縦に振っていた。