UN-EQUAL ―不揃いな色の旋律 ―

影野(かげの) (りつ)、15歳。声変わりが来なかったこと以外は、普通の男子だ。

リビングの全身鏡に映る僕は、高校の真新しい制服を身に纏った……ただの高校生男子。

「この制服、いいな……っ」

けれど、声を出せばやっぱり変わらなく声が高いんだ。

眉根を寄せて、自分の姿を見つめる。

見れば見るほど、ちゃんとした男子なのに……なんで僕の声はこんなにも高いんだろう。

「いつまで鏡みてんだ、律。早く飯食べねえと入学式早々遅刻するぞ〜?」

「あ、ごめん、結弦」

僕は一緒に暮らしている社会人の兄、影野 結弦(ゆずる)にそう言われハッとした。

結弦の低くて落ち着いた声、まさに僕が憧れてやまない『大人の声』。

どうして兄弟なのに、僕にはないんだろう……。

そんな事を考えながら、ダイニングテーブルにつくといつもより豪華な朝食が並べられていた。

「結弦、朝からこんなに……どうしたんだ?」

僕は自分の高い声を気にしないようにして、結弦に尋ねながらテーブルの片隅にある写真に目をやった。

今はもういない、父さんと母さん。
二人は数年前、交通事故で命を落とした。

僕は、それまで声のことでからかわれても我慢し続けていた……けれどそのことで気持ちが爆発したんだ。

今考えたら、大学生だった結弦も大変だったはずだ。辛かったはずだ

なのに、僕を励まし、支えてくれた。
学校に行かなくなっても何も言わないでくれた。

僕はその優しさに、高校からはちゃんと学校にいかなければと思った。

けれど、中々に頭の良くない僕は偏差値そこそこの私立の滑り止めにしか合格できず……新たな負担を結弦にかけてしまっている。