壱心くんは顔を寄せ、そう耳元でささやいた。
ぴくり、私は近さと吐息に肩を震わせる。
「そ、れは……」
「ここのみんなにバレると厄介なことになりかねないからね、黙っといて欲しいんだ。ひろめられたりさ。だから……もし、言う素振りとか言っちゃった時は──」
分かるよね?
壱心くんの顔はおだやかに見えるのに……目は笑ってない。
明るかった声も、今はひどく低く……体が強張ってくる。
「い、言わないよ」
「……良かった。そう言ってもらえて。ふぅ……。驚きながらも赤くなって……かわいいね。それじゃ、またあとで」
瞬きとともにまた先ほど見せていたちゃんとした笑顔を見せると、壱心くんは部屋へと入っていった。
──……びっくり、した。
笑顔と怖さの差がすっごい……。
かばんを拾い胸に手を当てると、私の心臓は大きく脈を打っていた。



