先に出て背中が見えていた壱心くん。
今の会話が聞こえるはずは……と思うんだけど聞こえていたらしく、風がおきる勢いで戻って来た。
……壱心くん、遅刻確定だ。
「爆速で戻って来じゃねーよ地獄耳が。早く行け。一颯も早くしろ」
「靴が……あ、はけた」
ローファーをはくのに手間取った一颯くんと鍵を閉めてくれる氷雨くんも来た。
「おれは花耶の顔をもう一度見たら行くよ。……ん?いつも通り可愛いけど?」
私の顔をマジマジと見てから、壱心くんは顔色を指摘した湊くんへと向いた。
「あっそ、お前も通常運転バカだな。なら早く行けよ」
「うん、おれも行く。またね花耶」
「ぼくも。またねじゃな」
「うん」
私も遅刻ではなくともギリギリになりそう。
一応小走りするととっくにひとり歩いていた氷雨くんを抜かすところで。
「氷雨くんもまた後でね」
「ああ」
氷雨くんは私を横目に角を曲がっていった。



