歩をゆるめた氷雨くんがたずねてきた。
「え?うん、そうだよ?一人休みだったからちょっと長引いて」
「そうか」
大体私が遅めの帰宅の時は掃除当番だから。
もしくは日直とか。
あと、葵とも雑談してきたから今日はより遅かったけど……もしかして氷雨くん、それを気にしてくれてる?
表情からは一切読めないけど。だとしたら嬉しいな。
「なにニヤけてんだ」
「氷雨くん優しいなって思って」
「……今の会話のどこにそう思うのかわかんねーな。頭花畑か」
そんなこと言って私の額を小突く。
いつも厳しいけど全く痛くない。なんだかんだやっぱり優しいよ、氷雨くんは。……も、かな。みんなそれぞれの優しさがあるから。
「ニヤけんな」
「ははっ、ごめん」
また額をはじかれ、先に行ってしまう氷雨くんを追いかける。
「……行くぞ、飯作る時間おしてんだ。手伝えよ」
急げ、と私は氷雨くんに手を引かれながら家へ走った。



