マルクスが去ってから、
ほぼひと月が過ぎようとしていた。
ソラリス王国は、
表向きには穏やかだった。
――あの日の馬車襲撃事件も、
公式には「不慮の事故」として処理され、
街はいつもの日常を
取り戻しているように見えた。
だが。
アウレリオもラジワも分かっていた。
水面下では、
確実に何かが動いている、と。
そんな折――
ドラゴニア帝国より、
一通の手紙が王宮に届いた。
封蝋に刻まれた紋章を見た瞬間、
ラジワの胸がひくりと鳴る。
「……ビンセントから、だわ」
アウレリオは無言で頷き、
二人は並んで書斎へ入った。
ラジワは深く息を吸い、
封を切る。
ビンセントからの書簡に
まず記されていたのは――
安堵の知らせだった。
『ファティマ姉さまは、
無事にドラゴニアを脱出しました。』
その一文を読んだ瞬間、
ラジワは思わず両手で口元を覆う。
「……よかった……」
次いで、
その詳細が綴られていた。
『ファティマ姉さまを救い出してくれたのは、
アズールティア王国のデクラン王子です。』
「アズールティア……」
アウレリオが低く呟く。
「確か、西の果てにある漁業の盛んな海洋国家だったな」
ラジワは胸の奥が温かくなるのを感じた。
(お姉様……あなたも、ちゃんと“運命の人”に出会えたのね)
ほぼひと月が過ぎようとしていた。
ソラリス王国は、
表向きには穏やかだった。
――あの日の馬車襲撃事件も、
公式には「不慮の事故」として処理され、
街はいつもの日常を
取り戻しているように見えた。
だが。
アウレリオもラジワも分かっていた。
水面下では、
確実に何かが動いている、と。
そんな折――
ドラゴニア帝国より、
一通の手紙が王宮に届いた。
封蝋に刻まれた紋章を見た瞬間、
ラジワの胸がひくりと鳴る。
「……ビンセントから、だわ」
アウレリオは無言で頷き、
二人は並んで書斎へ入った。
ラジワは深く息を吸い、
封を切る。
ビンセントからの書簡に
まず記されていたのは――
安堵の知らせだった。
『ファティマ姉さまは、
無事にドラゴニアを脱出しました。』
その一文を読んだ瞬間、
ラジワは思わず両手で口元を覆う。
「……よかった……」
次いで、
その詳細が綴られていた。
『ファティマ姉さまを救い出してくれたのは、
アズールティア王国のデクラン王子です。』
「アズールティア……」
アウレリオが低く呟く。
「確か、西の果てにある漁業の盛んな海洋国家だったな」
ラジワは胸の奥が温かくなるのを感じた。
(お姉様……あなたも、ちゃんと“運命の人”に出会えたのね)



