「先日、フィロメナ様からビンセント殿下宛に手紙が届きまして」
「そこには――」
一瞬、含みのある間。
「ファティマ様を救うべく、ドラゴニアに乗り込もうという“勇敢な王子”の存在が記されていたそうです」
ラジワの目が大きく見開かれる。
「それって……ドノヴァン侯!?」
(戴冠式のとき、お姉様の隣にいた、あの正直少し鈍そうに見えた男が!?)
マルクスは肩をすくめた。
「いえ……私もそこまで詳しくは知らないのですが」
「どうやら、嫁いだ先で――ファティマ様にも、素晴らしい出会いがあったようで」
その言葉に、
ラジワの胸がじん、と温かくなる。
(よかった……お姉様は、ただ耐えるだけの日々を
送っていたわけじゃないのね)
思わず、微笑みがこぼれた。
「……お姉様が無事に救い出されること。私も、心から祈っているわ」
マルクスは力強く頷く。
「ビンセント様は、必ずや、やり遂げるはずです」
そして、
少しだけ口元を緩めた。
「なにせ――囚われているのが、『あの』ファティマ様ですから」
その自信に満ちた言葉に、
アウレリオも小さく頷いた。
マルクスは改めて二人に深く一礼する。
「では――これにて」
踵を返し、王宮を後にする背中は、
来た時よりもずっと、力強かった。
ラジワはその背を見送りながら
そっと祈る。
(どうか――すべてが、良い方へ向かいますように)
こうして、
ソラリスからドラゴニアへ向かう希望の火種は、
確かに運ばれていった。
「そこには――」
一瞬、含みのある間。
「ファティマ様を救うべく、ドラゴニアに乗り込もうという“勇敢な王子”の存在が記されていたそうです」
ラジワの目が大きく見開かれる。
「それって……ドノヴァン侯!?」
(戴冠式のとき、お姉様の隣にいた、あの正直少し鈍そうに見えた男が!?)
マルクスは肩をすくめた。
「いえ……私もそこまで詳しくは知らないのですが」
「どうやら、嫁いだ先で――ファティマ様にも、素晴らしい出会いがあったようで」
その言葉に、
ラジワの胸がじん、と温かくなる。
(よかった……お姉様は、ただ耐えるだけの日々を
送っていたわけじゃないのね)
思わず、微笑みがこぼれた。
「……お姉様が無事に救い出されること。私も、心から祈っているわ」
マルクスは力強く頷く。
「ビンセント様は、必ずや、やり遂げるはずです」
そして、
少しだけ口元を緩めた。
「なにせ――囚われているのが、『あの』ファティマ様ですから」
その自信に満ちた言葉に、
アウレリオも小さく頷いた。
マルクスは改めて二人に深く一礼する。
「では――これにて」
踵を返し、王宮を後にする背中は、
来た時よりもずっと、力強かった。
ラジワはその背を見送りながら
そっと祈る。
(どうか――すべてが、良い方へ向かいますように)
こうして、
ソラリスからドラゴニアへ向かう希望の火種は、
確かに運ばれていった。



