意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

「……それで」
アウレリオが、
真剣な表情に戻る。

「ビンセント殿下の様子は?」

その一言で、
場の空気が引き締まった。

マルクスは一歩踏み出す。
「ビンセント様は、現在も帝国内で慎重に動いておられます。表向きは、クレオール陛下に従う姿勢を崩さず」

「しかし、水面下では――」
一瞬、言葉を選ぶ。

「賛同者を、着実に増やしています」

ラジワは、
胸の奥が熱くなるのを感じた。
(……あの子。無茶をするタイプじゃないけれど、立ち上がったのね。)

アウレリオは、ゆっくりと頷く。
「つまり……時を待っている、ということだな」

「はい」
マルクスははっきりと答えた。
「そして――」
視線をラジワへ。
「ラジワ様とソラリス王国の存在は、
ビンセント様にとって非常に大きい」

「“正統な血縁”と“強国の後ろ盾”。この二つが揃えば、
情勢は大きく動きます。まぁ、それは皇帝陛下にとってもそうなのですが」

アウレリオは、
静かに微笑んだ。
「……なるほど。ようやく、線が繋がったな」
彼はラジワの方を見る。
「お前は、最初からこの嵐の中心にいたわけだ」

ラジワは小さく肩をすくめた。
「望んだわけじゃないけどね」
「でも……」
真っ直ぐ、アウレリオを見る。
「今は、一人じゃないわ。そうでしょう?」

その言葉に、
アウレリオははっきりと頷いた。
「そうだ」

「我々が皇帝を支持するか、ビンセント皇子を支持するかで帝国の命運が決まる。だからこそ――」
低く、確かな声。
「ソラリスは、ビンセント殿下と手を組む」