意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

「嫌だ嫌だって言いながら、
ぎゅっとしがみついてきたの、
正直……」

一拍。

「――興奮した」

「なっ……!!?」
ラジワは即座に振り向く。
「な、な、な、何を言ってるのよ!!」

しかし、
アウレリオの勢いは止まらない。

「俺が、『ここまでにしておこう』って言ったら」
わざと、
思い出すように視線を上げる。

「今度はお前が、“もっと”とか言い出して……」

「言ってない!!!」

「言ってた」
有無を言わせず、即答する。

「しかも、おねだりする様に甘えた声で」

「~~~~っ!!!」
ラジワは顔から首まで真っ赤だ。

「忘れなさい!今すぐ!!」

「無理だな」
アウレリオはさらっと言い切る。
「俺の記憶力を、甘く見るな」

煽られすぎて、
ついにラジワが爆発した。
「最低!!意地悪!!嫌な男!!!」

枕を掴んで、
アウレリオをぽふぽふと叩く。

だが――
アウレリオは、
その手首を軽く押さえ、
くすっと笑った。
「怒るところも、可愛い」

「……っ!」

「安心しろ」
アウレリオの声が少しだけ低くなる。

「ちょっとからかっただけだ……昨日のことは、ちゃんと大切に覚えてる」

一瞬だけ、本気の眼差しに変わる。

「俺の妻が、俺を選んでくれた夜だからな」

ラジワは言葉を失い――
やがて、
ぷいっと顔を逸らした。
「……ずるい」

「そうか?」
アウレリオは楽しそうに言う。

――こうして。
緊迫した一夜を越えて、
甘さとからかいが混ざった、
いつもの日常が戻ってきたのだった。