意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

アウレリオが執務室で
慌ただしく指示を出していたその頃。

湯気の立つ浴室で、
ラジワは侍女たちに身を委ねていた。
丁寧に洗われ、
髪を梳かれ、
傷一つないことを確かめられる。

「……本当に帰って来られたのね」
「王太子妃様、
女神のご加護があったのでしょう」

ラジワは小さく笑った。
(違う……守ってくれたのは――あの人)

侍女たちにすっかり綺麗にしてもらい、
私室に戻ると。
そこには、
既にアウレリオがいた。

ラジワが部屋に入った瞬間、
視線が絡む。

そして次の瞬間――
強く、引き寄せられた。

「……っ!」
息を奪うほどの激しい口づけ。
逃げ場はない。
けれど――
もう逃げたいとも、思わない。

「……アウ……」
ラジワの言葉はアウレリオの唇に塞がれる。
長い、深い、
まるで感情を叩きつけるような口づけ。

やっと離れたとき、
二人の額は触れるほど近かった。

「……お前が」
アウレリオの低く、掠れた声。
「どれほど怖い思いをしたか、想像するだけで……」
彼はラジワの背に腕を回し、抱きしめる。

「本当は……
お前が懇願してくるのを待つつもりだった」

「だが……」
小さく息を吐く。
「我慢比べは、俺の負けのようだ」

アウレリオの視線が熱を帯びる。
「……もう、待てない」