意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

「――ラジワ!!」

静かな神殿の空気を震わせる、
聞き慣れた声。

その声が聞こえた瞬間。
ラジワの思考は、
すべて吹き飛んだ。
(……え?今の、声……?)

次の瞬間には、
もう走り出していた。

神官の制止も、足元の石段も、
何も見えていない。
ただ――
あの声のする方へ。

「アウレリオ……!!」

男子禁制の神殿。
彼は中に入れない。

だからこそ、
石門の外に立つその姿を見つけた瞬間――
ラジワは門から飛び出した。

「ラジワッ!!」
名を呼ぶと同時に、
アウレリオは彼女を強く引き寄せた。
ぎゅっと。
壊れてしまいそうなほど。

「……無事で……良かった……!」
抑えきれない安堵が声を震わせる。

「アウレリオ……!」
ラジワも、
彼の胸に顔を埋める。
溜め込んでいた恐怖と緊張が、
一気に溢れ出した。

「怖かった……!」
「あなたが来てくれなかったらって……」
「もう、二度と会えないかと思った……!」
嗚咽混じりの声。

「馬鹿だな……」
アウレリオは、
彼女の髪に顔を埋める。
「そんなことあるわけないだろ。俺が、お前を見捨てるはずがない」
腕に力がこもる。

「……迎えに来た、ラジワ」