意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

朝靄を切り裂き、
白馬が駆ける。 

蹄が大地を叩くたび、
アウレリオの胸は激しく脈打つ。

(無事で良かった……本当に……生きていてくれた……)

ラジワの指輪を、
胸元に押し当てる。

あの時、お前が俺に抱きついてきた夜。
俺は決めたんだ。
この誇り高く、不器用で、泣き虫で、強情なお姫様を
生涯、守り抜こうと———

風が頬を打つ。

ラジワ……
怖かっただろう。寂しかっただろう。
もう、二度と一人にしない。
帝国が相手だろうと、皇帝だろうと、
お前に指一本、触れさせはしない。

神殿の丘が視界に入る。
白い石の建物が、
朝日に浮かび上がる。

「ラジワ……!」
馬を止めることすら忘れ、
アウレリオは叫ぶ。

(待っていろ。今――俺が行く)