ラジワにはたくさんの兄弟たちがいる。
けれど同じ母から生まれたのは
姉ファティマ、兄クレオール、
そして弟のビンセント。
他の異母兄弟たちとはほとんど親しくなく、
悩み事を相談できるのは
姉のファティマぐらいだった。
ファティマの私室は
いつ訪れても静かだった。
香の匂いは控えめで、
書架には外交文書と古い詩集が並び、
窓辺には、
旅先から持ち帰った小さな置物が置かれている。
「珍しいわね、ラジワ。こんな時間に」
長椅子に腰掛け、
書簡に目を通していたファティマが顔を上げた。
その視線は穏やかで、
けれどどこか、
すべてを見透かすようでもある。
「……少し、話したくて」
ラジワはそう言って、
扉を閉めた。
その仕草を見ただけで、
ファティマは察したように書簡を置いた。
「ええ。そこに座って。」
二人は向かい合うように腰を下ろした。
しばらく、沈黙。
先に口を開いたのはラジワだった。
「ねえ、お姉様。もし……もしも、よ」
言葉を選びながら、
それでも止められずに続ける。
「誰かを、好きになったとしたら。
その人と……生きたいと思ったら」
ファティマの指がわずかに止まった。
「それは、素敵なことね」
即答だった。
けれど同じ母から生まれたのは
姉ファティマ、兄クレオール、
そして弟のビンセント。
他の異母兄弟たちとはほとんど親しくなく、
悩み事を相談できるのは
姉のファティマぐらいだった。
ファティマの私室は
いつ訪れても静かだった。
香の匂いは控えめで、
書架には外交文書と古い詩集が並び、
窓辺には、
旅先から持ち帰った小さな置物が置かれている。
「珍しいわね、ラジワ。こんな時間に」
長椅子に腰掛け、
書簡に目を通していたファティマが顔を上げた。
その視線は穏やかで、
けれどどこか、
すべてを見透かすようでもある。
「……少し、話したくて」
ラジワはそう言って、
扉を閉めた。
その仕草を見ただけで、
ファティマは察したように書簡を置いた。
「ええ。そこに座って。」
二人は向かい合うように腰を下ろした。
しばらく、沈黙。
先に口を開いたのはラジワだった。
「ねえ、お姉様。もし……もしも、よ」
言葉を選びながら、
それでも止められずに続ける。
「誰かを、好きになったとしたら。
その人と……生きたいと思ったら」
ファティマの指がわずかに止まった。
「それは、素敵なことね」
即答だった。



