意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

「殿下!
王宮門前に、正体不明の男が!」

報告の声に、
アウレリオは即座に顔を上げた。
「捕らえろ」
短く、鋭い命令。

この状況での侵入者。
警戒しない理由がない。
数名の近衛に取り囲まれながら、
一人の男が玉座の間へ連れて来られる。

「名を名乗れ」
剣を抜いたまま、
アウレリオが睨む。

「俺の名はマルクス」
落ち着いた声音でその男は名乗る。
「ドラゴニア帝国皇子ビンセント殿下の部下だ」

ざわり、と空気が揺れる。
「帝国の者が、この王宮に何の用だ」
一歩でも怪しい動きを見せれば斬る――
そんな殺気を、
マルクスは真正面から受け止めた。

「……疑われるのは承知の上です」
そう言って、
彼は懐に手を伸ばす。
「ですが、まずはこれを見てください」

懐からナイフでも取り出すのではないか。
近衛たちが一斉に剣を構える。

「待て」
アウレリオの低い声が、
それを制した。

マルクスの掌に乗っていたのは――
一つの指輪だった。
黄金の台座に、
澄んだトパーズ。

それを目にした瞬間。
アウレリオは息を呑んだ。