意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

夜明けの鐘が鳴るより早く、
ソラリス王宮は慌ただしく動き始めていた。

「捜索範囲を拡大しろ。
城下だけでなく、国内すべてだ」

執務室に響く、
低く張り詰めた声。
昨晩、
アウレリオは一睡もしていなかった。
乱れた髪、血走った眼。

だがその背筋は、
なおも鋭く伸びている。

「殿下……」
側近の一人がためらいがちに口を開く。
「どうか少しお休みを。このままでは――」

「休めるものか!」
声が、鋭く跳ね上がる。
「俺の妻が、
今この瞬間にもどこかで怯えているかもしれないのに!」
拳が、卓を打つ。
「探せ。一人残らず、
俺のラジワを見つけ出せ」 

部下たちは息を呑み、
深く頭を垂れた。
「――はっ!」

アウレリオは窓辺に立ち、
白み始めた空を睨む。
(待っていろ、ラジワ。必ず……俺が迎えに行く)