意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

――それは“偶然”を装った必然だった。

ラジワは公務を終え、
王宮へ戻る途中だった。

通りは賑やかで、
何の変哲もない午後。

だが次の瞬間――
「――危ない!!」
曲がり角から、
辻馬車が猛スピードで突っ込んできた。

激突。
凄まじい衝撃が走り、
王太子妃を乗せた馬車が、
大きく傾き――横転した。

悲鳴。
怒号。
人々の混乱。

「王太子妃殿下!!」
護衛が叫ぶ。

だが、
その混乱の“隙間”を縫うように、
一人の男が動いた。

覆面。
屈強な腕が、
ラジワの身体を抱え上げる。

「な――!?」
ラジワの視界が揺れる。

そして次の瞬間、
彼女は馬の背に乗せられていた。
男が、低く言う。
「ラジワ、
振り落とされるなよ!」

男の合図で馬が走り出した。
ラジワの背後で、
護衛の叫び声が遠ざかる。

(……連れ去られる……!?)
ラジワは振り落とされないように、
必死に覆面男の背中に張り付いていた。