――そう吐き捨てた瞬間。
アウレリオが一歩前に出た。
「取り消せ」
低く、鋭い声。
「俺の妻を侮辱するな、皇帝陛下」
クレオールは面白そうに笑った。
「……なるほど。
随分と“飼い慣らした”ものだな、ラジワ」
その言葉は、
妹を人ではなく
所有物として扱う響きを帯びていた。
アウレリオの怒気が、
はっきりと伝わる。
だがクレオールは、
あっさりと手を振る。
「まあいい。今日は戴冠の祝いだ」
そして、何気ない口調で告げる。
「いずれ――
帝国として、正式な“お願い”をすることになるだろう」
その目は、
ラジワを逃がさないと宣言するかのように、
怪しく光っていた。
謁見を終え、
廊下を歩きながら、
アウレリオは低く言った。
「……マルヴァリス前皇太子のほうが、
まだ分かりやすい悪だったな」
「ええ……」
ラジワは唇を噛む。
「クレオールは、
自分が正しいと信じて疑わない」
それが、何より恐ろしい。
礼儀を纏い、正論を盾にし、
血縁すら利用する。
(奴は……来る)
帝国は、
次はもっと露骨に牙を剥く。
ラジワはアウレリオの袖をぎゅっと掴んだ。
「……帰りましょう。早く」
アウレリオは彼女の手を強く握り返す。
「必ず、一緒に帰る」
だがその背後で――
皇帝クレオールは、
すでに次の一手を思い描いていた。
妹を取り戻すための、
最も卑劣で、最も皇帝らしい一手を。
アウレリオが一歩前に出た。
「取り消せ」
低く、鋭い声。
「俺の妻を侮辱するな、皇帝陛下」
クレオールは面白そうに笑った。
「……なるほど。
随分と“飼い慣らした”ものだな、ラジワ」
その言葉は、
妹を人ではなく
所有物として扱う響きを帯びていた。
アウレリオの怒気が、
はっきりと伝わる。
だがクレオールは、
あっさりと手を振る。
「まあいい。今日は戴冠の祝いだ」
そして、何気ない口調で告げる。
「いずれ――
帝国として、正式な“お願い”をすることになるだろう」
その目は、
ラジワを逃がさないと宣言するかのように、
怪しく光っていた。
謁見を終え、
廊下を歩きながら、
アウレリオは低く言った。
「……マルヴァリス前皇太子のほうが、
まだ分かりやすい悪だったな」
「ええ……」
ラジワは唇を噛む。
「クレオールは、
自分が正しいと信じて疑わない」
それが、何より恐ろしい。
礼儀を纏い、正論を盾にし、
血縁すら利用する。
(奴は……来る)
帝国は、
次はもっと露骨に牙を剥く。
ラジワはアウレリオの袖をぎゅっと掴んだ。
「……帰りましょう。早く」
アウレリオは彼女の手を強く握り返す。
「必ず、一緒に帰る」
だがその背後で――
皇帝クレオールは、
すでに次の一手を思い描いていた。
妹を取り戻すための、
最も卑劣で、最も皇帝らしい一手を。



