帝国からの書状が届いたのは、
よく晴れた朝だった。
王城の執務室に差し込む陽光の中、
一通の書状が、
侍従によってアウレリオの机上に置かれる。
封蝋に刻まれていたのは、
ラジワの故郷である帝国の紋章――
そして今は、
クレオールの名で
統べられることになる印だった。
「……来たか」
アウレリオは静かに封を切る。
文面はあくまで丁重だった。
「皇太子クレオール、
近く正式に帝位を継承する運びとなりました。
つきましては、血縁にして同盟国たる
ソラリス王国の王太子夫妻を
戴冠式にお迎えしたく存じます」
形式としては非の打ちどころがない。
礼節も、外交辞令も、
すべてが整っている。
――だが。
アウレリオの視線は、
ある一節で止まった。
「特に、我が妹ラジワ殿下には、
皇族としての立場からも
帝国滞在中、便宜を図る所存です」
その言い回しは、柔らかい。
だが同時に、
曖昧で、逃げ道を含んでいた。
「……便宜、か」
まるで、
まだ彼女は帝国の管轄にある
と言外に示すかのような文言。
アウレリオは無意識のうちに
拳を握りしめていた。
ラジワはすでにソラリスの王太子妃だ。
法も、神も、国も、それを認めている。
それでも帝国は――
“元皇女ラジワ”を、
再び引き寄せようとしている。
よく晴れた朝だった。
王城の執務室に差し込む陽光の中、
一通の書状が、
侍従によってアウレリオの机上に置かれる。
封蝋に刻まれていたのは、
ラジワの故郷である帝国の紋章――
そして今は、
クレオールの名で
統べられることになる印だった。
「……来たか」
アウレリオは静かに封を切る。
文面はあくまで丁重だった。
「皇太子クレオール、
近く正式に帝位を継承する運びとなりました。
つきましては、血縁にして同盟国たる
ソラリス王国の王太子夫妻を
戴冠式にお迎えしたく存じます」
形式としては非の打ちどころがない。
礼節も、外交辞令も、
すべてが整っている。
――だが。
アウレリオの視線は、
ある一節で止まった。
「特に、我が妹ラジワ殿下には、
皇族としての立場からも
帝国滞在中、便宜を図る所存です」
その言い回しは、柔らかい。
だが同時に、
曖昧で、逃げ道を含んでいた。
「……便宜、か」
まるで、
まだ彼女は帝国の管轄にある
と言外に示すかのような文言。
アウレリオは無意識のうちに
拳を握りしめていた。
ラジワはすでにソラリスの王太子妃だ。
法も、神も、国も、それを認めている。
それでも帝国は――
“元皇女ラジワ”を、
再び引き寄せようとしている。



