意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

「――ここ、見て」

とある日の城下町。

お忍びの装いで歩く二人は、
まるで恋人同士だった。

姉のことで塞ぎがちなラジワを
少しでも元気づけようと、
アウレリオは積極的に
彼女を外に連れ出していた。

「この菓子屋、
 前に来た時より品が増えている」

「本当だわ。
 この焼き菓子、形が太陽みたいね」

顔を近づけて、小声で笑い合う。

周囲にいる者たちは誰も、
王太子と王太子妃だとは気づかない。
ただの――
幸せそうな男女の姿が
街に違和感なく溶け込んでいた。