意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

ラジワは、
何度目かのため息をついた。

机の上には、
書きかけの手紙。
宛名――ドノヴァン侯国ファティマ侯妃

(……まだ、返事がない)
すでに、
三通目だった。

言葉を選び、
感情を抑え、
それでも伝えたい想いを綴った。

それなのに――
返事は、来ない。

同じ頃。
遠く帝国にいるはずのビンセントからも、
短い知らせが届いていた。
『姉さま。
僕も、姉上に手紙を出しています。
けれど、やはり返事がありません。
宮廷の空気も、どこかおかしい。』

ラジワは、
手紙を胸に抱きしめる。
(お姉様……)
(無事でいて……)
不安は、消えないまま。

けれど――
それを今は、
胸の奥にしまった。